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    経験談 No.1
    スイス在住1児のママさん

    2021年5月

    私には 3 歳になる息子がいます。 
    海外で子育てをしている私は、もちろん家族は日本にいるし、義理家族は遠方に住んでいるため預けるということはあまりありません。

     専業主婦である私は「3 歳までは私の手でしっかり育てたい」と思っていたので、保育園に預けるのは 3 歳からと決めていました。その代わりに児童館に行ったり、親子で参加できるイベントや習い事などに参加していました。 
     

    私が自分の異変に気付いたのは、息子が 2 歳3ヶ月くらいのときでした。その時ちょうど、引っ越しと息子のいやいや期が重なっているときでした。 
    私も息子も新しい環境に慣れることに精一杯でした。

    息子は新しい家に慣れずに戸惑い、それまで一人でしていたお昼寝も嫌がるようになり、夜泣きも再開し、夜中に 2 時間くらい泣き叫ぶことが続きました。 
    私はというと、新しい生活環境に早く慣れようと、習い事や児童館などほぼ毎日予定を入れていました。

     

    しかし、いやいや期の息子の出かける準備はそう簡単にはいきません。

    中でも、その日着る洋服を選ぶのにはとても苦労しました。

    車が大好きな息子は、お気に入りの車のイラストのシャツがないと着るのを嫌がりました。

    運転免許をもっていない私は、バスや電車の時間をいつも気にし、時間に追われ、だんだんと疲弊していき、息子を怒鳴ることが増えていきました。 


    「どうして言うことを聞いてくれないんだろう?どうして何もかもうまくいかないんだろう?」

    と息子を前に泣いてしまうこともありました。 


    このままでは息子に手をあげてしまうんじゃないかと怖くなった私は、日本語で受けられるカウンセリングがあるか調べてみました。

    すると車で一時間ほどのところに、日本人の心理士の方を見つけました。

     

    初めて電話予約するとき、とても勇気が必要でした。

    電話するかどうか、何度も何度も悩みました。

    しかし、日に日に息子に対して怒鳴ることが増え、このままの状態を続けることのほうが怖くなっていきました。

     

    初めてのカウンセリングを前に「危ない母親だと思われて息子と引き離されたら…」「警察に連絡されたら…」「精神薬を大量に処方されたら…」と不安に思っていました。 


    実際に初めてのカウンセリングを受けてみると、私の不安は必要ありませんでした。

    今まで心の中に抱え込んでいたことを全て吐き出すと、心が軽くなった気がしました。

     

    心の中にあった全てのもやもやを吐き出して共感してもらえると、私は間違ってなかったんだ、十分頑張っていたんだとほっとしました。

     

    そして、実は、カウンセリングを受ける前から息子を 3 歳まで待たずに早めに保育園に通わせようかと悩んでいたのですが、なかなか一歩が踏み出せずにいました。

    でも、初めてのカウンセリングのときに息子から少し物理的に距離を置いて、自分の時間を持つ方がいいと背中を押してもらい、目星をつけていた保育園に早速連絡をしました。

    幸運なことに、空きが出たばかりですぐに見学、申し込みが可能だと言われ、息子は保育園に通うこととなります。 
     

    息子が保育園にいる間、一人の時間ができると、最初は何をしたらいいのか戸惑いました。

    カウンセリングには1人で電車で通うようになり、少し早めに行って、一人での外出を楽しんだり、帰りの電車の中では心理士の方とその日に話したことを頭の中で整理したりしていました。 


    以前は「母親」 としての自分を 100%生きていました。

    息子から離れて自分の時間を持つことに罪悪感さえ持っていました。

    仕事をしてない私は家事も育児も完璧にこなさないとと思い、夫に頼ることさえも気が引けてしまっていました。

     

    でも「一人の女性」としての自分に戻る時間があるからこそ、「母親」 としての自分を頑張れるのではないかと今では思います。 


    そして息子はというと、保育園に通うたびに一回りも二回りも大きくなって帰ってきて満足気な顔を見るたびに、そして先生から「今日はこんなことができましたよ」とほめられるたびに、私もうれしくなります。 
    3 歳を過ぎた息子は、言葉も上手になり、しっかりと自分のことを表現することができ、2 歳の頃と比べるとコミュニケーションをとることが楽になりました。

    それでも、わがままを言ったり、思い通りにならないと癇癪を起こすこともあります。


    しかし今はそんな息子を前に肩の力を抜くことができるようになりました。 
    息子は私とは違う一人の人間です。

    「どうして言うことを聞かないの?」と思う前に、息子がしたくないなら今はしなくていいか、と気楽に考えれるようになりました。

    昼ご飯に野菜をどうしても食べないのなら、夜ご飯に食べればいいし、お昼寝したくないのなら、夜は早めに寝させようと、「絶対に今これをさせないと!」と思うことをやめました。

     

    一度自分の限界を超えてしまったので、今ではその限界が来る前に自分で気づき、誰かに預かってもらうなり、夫に息子と出かけてもらったりして、一息おくようにしています。 


    私は人に頼るということが苦手で、自分一人で抱え込む性格です。

    しかし、子育てに休憩はなく、一人で頑張ろうとするとエネルギーが切れてしまいます。

    一人でやろうとしなくていいと気づけたのは、カウンセリングを受けて共感してもらって、そしてまた新しい一歩を踏み出すためにどうしたらいいのか一緒に考えてもらい、頭の中をすっきりと整理できたからだと思います。 


    これからもまだまだ子育ては続いていきます。

    きっと今まで以上に大変な時期もあるかもしれません。

    でも、肩の力をぬいて、誰かの力を借りながら、息子と一緒に私も母として成長していけたらいいなと思っています。

      © 2021 La terre la mère

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